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適格年金の問題が始まった3〜4年前から同様の質問を多数の会社から受けました。それでは、御社はこの間、本当にこの問題をじっくり考えてきたのでしょうか? 答えは「ただ時間が流れていった」だけだと思います。 結局、これは「単なる問題の先送り」です。これによって御社は何千万円ものお金を失っているかもしれません。これからじっくり考えるのではなく、今真剣に考えるべきなのです。
これはある会社で実際にあった話です。 その会社の社長様も同様に適格年金のことは総務経理部長に任せているという回答でした。 そこで、任せられているはずの当該部長に尋ねてみると、「私はあと2年で退職するので、このような面倒な事案は後任にやってもらおうと思っている」と言う返答でした。任せられているはずの総務経理部長が勝手に「問題の先送り」をしていたのです。 例えば御社ではこの問題に対する正しい情報が定期的に担当者からもたらされていますか?担当者に質問して、すぐ明快な回答が得られますか? 適格年金の問題は、一部門、一担当者レベルで解決できる問題ではありません。 これは社長様を筆頭とする全経営陣が共通で考えなければならない経営問題なのです。
恐らく、社長様が金融機関から確定拠出年金(401k)の話を聞いて、どうも当社に合わないと思った直感は正しいでしょう。 例えば金融機関からそれらの説明を受けた際に、当該金融機関の担当者は社長様の退職金制度に対する思いや、考え方を十分お尋ねになられたでしょうか? 適職年金の問題解決にとって一番大切なのは、今後の退職金制度をどのような内容、仕組みにするのかという事です。そのための鍵となるのが社長様の考えです。つまり、社長様の考え抜きでは、正しい問題解決はできないということです。
適格年金の問題点を単なる制度移行の問題として解決してしまうと、このような失敗を招くようです。そもそも、適格年金と移行先の制度はその制度内容が異なります。異なるもの同士の移行ですから、当然一時的に、または恒常的につじつまの合わない部分が生じます。それらを解決し、できる限りリスクの少ない移行を行なうためには退職金制度や退職金規程の工夫が不可欠です。
適格年金の問題解決は、会社の人事制度の一つである退職金制度の改革に該当致します。この退職金制度の受給権、金額等は、社員の権利として、労働法において保護されています。したがって、会社が一方的にその内容を見直すことは、原則としてできません。きちんと段階を踏まえて、一つずつ検討していく必要があります。その場合、適格年金の仕組みや退職金に関する法律に詳しい専門家のアドバイスが不可欠と考えられます。
他の制度に移行するということは、今ある積立金を国が認める一定の制度に移すということです。 これは単に移せる、移せないだけの話なので、移行したから積立不足が解消される訳ではありません。 適格年金と同様に移行先の運用利回りが低い状況では、移行だけで積立不足の問題が改善される訳ではないのです。
確定給付企業年金は、各金融機関で受諾する会社の規模を制限しているようです。これは適格年金と比較して格段に会社の責任と費用負担が増大することによります。つまり、一定人数以上の会社でないと、費用対効果の点でペイしないということです。 一般にこの人数規模は、社員数300名程度と言われています。
確かに中退共は平成17年3月末で2,283億円の累積損失を抱えておりました。 ところが、平成17年度の運用実績が8.34%と大幅に改善されたため、平成18年3月末には866億円まで圧縮されています。 これは予定運用利回り1%を上回った分(利益)の一部を累積損失の解消に充当することになっているからです。(残りは加入者に還元されています。) このように、わずか1年で大幅に累積損失が解消した原因は、株価上昇による運用環境の改善によるものですが、解消のためのルールが存在することも見逃せません。 圧縮されたとはいえ、866億円の累積損失があることを不安に感じるかどうかは人によって差があると思いますが、累積損失解消ルールの存在とそれが公表されている点は評価できるのではないでしょうか? ただし、累積損失を解消するまでは、基本となる予定運用利回り1%は改訂されない可能性が高い点も理解しておく必要があります。
退職金規程はあくまでも適格年金を念頭において作成されたものであり、適格年金が解約されたのであれば、当社規定も廃止しなければなりません。 この場合、その旨を労働基準監督署に届け出る必要があります。 届出を怠った場合、適格年金を解約したのにもかかわらず、従業員から退職年金規定に基づいた退職金の支払いを求められることがありますので注意しましょう。 また、適格年金から中退共等の他の制度へ移行した場合、通常は退職金規程の移行に伴う経過措置の規定を追加する必要があります。これらは細かい規程となりますので、退職金規程に詳しい社会保険労務士に依頼すると良いでしょう。
信託銀行や生命保険会社の特別勘定で運用している場合は、株価上昇による運用環境の改善により、8〜9%程度の運用利回りを確保できているケースもあります。(一般勘定の場合は、このような恩恵はありません。) ただし、このような会社でも積立不足が改善される所までは至っていません。 たまたま昨年度は運用が好調だったとは言え、もともとハイリスクハイリターンの運用方法なので、その前数年間はマイナス運用で資産が大きく目減りしていたからです。 また、問題解決を先送りすることにより、会社が支払わなければならない退職金額(要支給額)は毎年増え、この増加額は実は運用益を上回っている可能性が高いです。 したがって、この程度の運用利回り改善で問題が解決するほど甘い話ではないことを認識しておくべきでしょう。